アラン オークニー・ベア カスクストレングス10年
- 2015年 2月 4日
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2月より開店時間が19時になりました。
お食事の後にもお立ち寄り下さいませ。
開封いたしました
アラン オークニー・ベア カスクストレングス 10年
Arran “Orkney Bere Barley” 2004-2014 /10yo /56.2% /4890bts
F 1500 / (H 900)
グラスゴーの南西、クライド湾に浮かぶアラン島唯一の蒸留所より
古代の大麦品種で仕込まれた特別なボトルが到着いたしました。
このウイスキーの原料となる六条大麦、ベア種は
およそ1000年以上前にヴァイキングによってスコットランドにもたらされたといわれ
100年程前までは主要銘柄として広く使われていましたが
育成が難しく、収穫高もアルコール収量も低いため廃れ、幻となりました。
英国ではスコッチ・ウイスキーは重要な輸出品でもあるため
より収量を向上させる方向に麦の品種改良が進みましたが
肝心の香味が希薄になるという指摘から近年ではそれを見直し、
ワイン同様に、収量を抑えて土地の恵みを凝縮する技法が模索されています。
そのきっかけの一つとなったのは故ミッシェル・クーヴレー氏の
“シングル・シングル・ベレ・バーレイ”です。
1985年の時点で業界の進む方向に疑問を持ち
壮大な実験で道を示した先見の明と行動力に改めて感銘いたします。
ただクーヴレー氏はベア種の原酒を濃厚シェリー樽で熟成し
またパフューム全盛期のエドラダワーで蒸留したため
その強烈な個性をも受け止め得るベアの力強さは感じるものの
単体でのベア種の香味は把握し難く仕上がっていました。
その点このアランはリフィルのバーボン樽熟成で、
樽の影響をおそらくはあえて控え
青さも感じさせますがより純粋に
古代の麦の原酒の香味が分かりやすく造られています。
クーヴレー氏が使ったベアは
“バノック”というイーストを使わない古来のパンを造るために
オークニーで細々と栽培していた農家が廃業する際に
その最後の年の生産分を買い取ったもので
未来の無いものでしたが
今回はハイランズ&アイランズ大学オークニー校の農学研究所の協力の下で
作付けの方法を含めて研究・育成されている耕作地のもので
種の復興を目的としています。今後に期待できます。
派手さはありませんがしみじみとおいしい田舎パンのような魅力のウイスキーです。
スコッチ・ウイスキーの過去で未来です。
是非お試し下さいませ。
今回売り切れたのはGMのロングモーン66と
スコティッシュ・シークレットのロセス68でした。
60年代のボトルは年々入手が難しくなっていますが
可能な限り御提供していけるよう努力いたします。
1995年設立のアラン蒸留所を訪ねたのは2000年のことです。
99年に初めて発売されたスタンダード・ボトルが上質で興味を持ちました。
グラスゴー近くの小さな港町、アードロッサンからフェリーで島に渡ります。
島を周回するバスに乗れば、すぐに蒸留所です。
アラン島の美しい風景に馴染んだ新しい蒸留所は
最新の技術を導入しながらも、どこか人の手の温かさを感じさせました。
見学後、蒸留所を出るといつの間にか豪雨になっていました。
そのまま対岸のキンタイヤ半島に渡るつもりで近くのロックランザ港まで歩きました。
小さな港に人は無く、風雨をしのげる建物も無く、嵐のような荒天の中
突堤に置かれた電話ボックスの中で荒れた海を眺めて船を待ちました。
フェリーは予定時刻を一時間以上過ぎても来ず
後で聞くと荒天で運行中止になっていたそうです。
あきらめて再び町の方へ戻ると
幸い最初の民家にB&Bの看板があり、助かりました。
老婦人お一人の家で、すぐに風呂を入れていただき生き返りました。
居間で温かい紅茶を淹れていただき
蒸留所で働いている日本人がいるということを伺いました。
快活でよく働き、島の人にも人気があるということを
とても楽しそうにお話されて、私も嬉しくなりました。
Rum and Whisky (ラム・アンド・ウイスキー)
604-8017 京都市中京区木屋町三条下る材木町188-3 光ビル4階東 (木屋町交番より北に7軒目)
19時から翌4時 火曜休 チャージ500円 TEL 075-221-1721
3時以降でノーゲストの場合は閉店させていただくことがございます。
小さな店でございますので勝手ながらお一組3名様までにてお承りさせていただきます