2015年 6月 の記事

アードベッグ1992とダヴィンチの“糸巻きの聖母”

 

 

おかげさまで六周年記念祭も無事終了いたしました。

御来店いただきました皆様ありがとうございました。

 

開封いたしました

アードベッグ 1992 10年 ダグラス・オブ・ドラムランリグ

Ardbeg 1992 /10yo /45% /Douglas of Drumlanrig

H 1100 / F 2000

 

005

 

土と煙、期待通りの強い香味が湧き上がる短期熟成のアードベッグです。

梅雨時に、刺激的でおいしいアイラ・モルトです。

 

 

先日のニュースで、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画“糸巻きの聖母”(糸車の聖母)が

来年の一月に、日伊国交樹立150周年を記念して初来日すると報道されました。

現存作品の少ないダヴィンチを、日本で見られる機会は稀です。

 

それを許可した所有者バクルー公爵の居城が、このラベルのドラムランリグ城です。

かつて絵はこの城内で展示・公開されていました。

バクルー公は英国内最大の土地所有者としても知られる富豪です。

 

2003年8月27日、観光客を装った二人組により、展示中のこの絵が強奪されます。

評価額70億円以上ともいわれる大盗難劇は、当時世界に報道されました。

このボトルが日本に紹介されたのはそのしばらく後のことです。

 

当時の輸入代理店の案内文によると、盗難に失意の9代目バクルー公が

本来プライベートなものだったウイスキーコレクションの放出を決め

原酒の選定にも自ら関わっていたそうです。

また、

「少しでも多くこのウイスキーを日本の皆さんに買って頂き、損失を取り戻したい」

とメッセージを出されたとのことです。

 

公の資産規模を考えますと、ちょっと鵜呑みにはできない話にも思えますが

広告のストーリーとしては面白いですね。

 

その後、2007年に絵はグラスゴーで発見・保護され、公爵家に返還されますが

そのわずか一ヶ月前に9代バクルー公は亡くなっており

現在は子息が第10代当主となっています。

今回の来日を許諾したのはこの10代目です。

 

旧来“糸車の聖母”とされた呼称が、今回の来日では“糸巻きの聖母”で統一されています。

後者で検索するとほぼ来日決定以降の記事しかヒットしません。

“糸車の聖母”で検索いたしますと、真贋論争含めてネガティブな記事も多く出ますので

その検索対策として邦題を変更したのかな、と思うのは

少し穿った見方でしょうか。

 

ともあれ貴重な文化財の来日です。

江戸東京博物館での公開だそうですが

機会があれば見てみたいと思います。

 

このボトルはダグラス・レイン傘下のラングサイド・ディスティラー社よりの販売で

現在同ブランドはハンター・レイン社が保有しているようです。

 

 

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もう一本、こちらはグレンギリーの1968蒸留、36年物です。

ラム樽後熟で樽出しの55.9%です。長期熟成の魅力を愉しめます。

 

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アードベッグとラフロイグの創業200周年記念ボトルも開いています。

この機会にお試しください。

 

 

 

 

 

 

近くの京都市美術館でルーヴル展が始まりました。

ダヴィンチと同じく現存する真作の少ないことで知られる

フェルメールの作品が来ていて、人気です。

平日の午後に訪れましたが

まだ人少なでしたので今のうちに是非。

 

 

 

 

Rum and Whisky   (ラム・アンド・ウイスキー)

604-8017 京都市中京区木屋町三条下る材木町188-3 光ビル4階東 (木屋町交番より北に7軒目)

19時から翌4時 火曜休     チャージ500円    TEL 075-221-1721
3時以降でノーゲストの場合は閉店させていただくことがございます。

小さな店でございますので勝手ながらお一組3名様までにてお承りさせていただきます

マッカラン12年80年代流通品 GMロングポンド1941-99

 

 

六周年記念祭を開催中です。6月15日まででございます。

 

103

 

ウイスキー  マッカラン 12年 43% オールドボトル  30ml  1600円

ラム  ロングポンド 1941  50%  ゴードン&マクファイル       15ml   1600円

Macallan 12yo /43% /OB /bot.1980’s   / 30ml 1600 JPY

Long Pond 1941-99 /50% /Jamaican Rum /Gordon&MacPhail   / 15ml 1600 JPY

 

「昔のマッカランはどんな味だったんですか」

と、若いお客様によくご質問をいただきます。

昔といってもひとくくりにはできませんが

このボトルはその回答の一つです。

 

瑞々しい極上のシェリーの甘さ

香りと味の一体感と舌触りのなめらかさ

いつまでも飲みつづけていたくなるバランスの良さ

 

“シングルモルトのロールスロイス”と称えられた時代の香味です。

往時のスタンダードですが、近年の高騰で今後の入手も御提供も困難になりました。

是非ともこの機会にお試しいただきたいと願います。

 

 

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ラムは英領時代のジャマイカにて、1941年5月3日に蒸留されたものです。

戦前戦後の古酒は何本か扱いましたが、二次大戦中の蒸留は初めてです。

 

強烈に個性的なラムです。旧英領系ラムの愛好家以外にはおすすめできません。

有機溶剤と魚介の乾物が混和した、複雑な強い香りです。

凝縮された旨みと乾燥スパイス類の刺激が

超長期の熟成によって渾然となっています。

突出した各要素は過剰かもしれませんが、決して退屈させることは無いでしょう。

 

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来歴の証書です。

1941年にジャマイカで蒸留、1946年に英国本土に運ばれて

1967年よりエルギンで熟成されたと記されています。

 

少し奇妙な記述です。46年から67年まではどこに保管されていたのでしょう。

エルギンにはGM社とその熟成庫がありますが

もし社内で別の熟成庫から移動したのなら、元の保管場所も記すのではないでしょうか。

前所有者の存在が推測されます。

 

戦時下に蒸留して、戦後の混乱期に長距離輸送できるラムの有力な保有者は

私には英国海軍しか思い当たりません。

 

英国海軍は、1970年までラムの配給を続けていました。

あくまで私の憶測ですが

その配給停止を前に民間に樽を払い下げ、それをGM社が買い取ったとすれば

この来歴も納得がいくように思います。

蒸留日をきちんと記録する几帳面さも、海軍保有のラムの特徴の一つです。

 

この私説には証拠も、裏付けする記述もありませんので

このボトルにまつわる一つのロマンとして楽しんでください。

 

 

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どちらもあと少しです。売切れ次第終了となりますので御了承くださいませ。

 

 

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ラムが想定より人気でしたので、何本か追加で開封いたしました。

ケイデンヘッドのポートモーラント1964と

シャンタル・コントのモンターニュ・プレ1975、サント・リュス1977です。

こちらも劣らぬ美酒揃いです。お試しください。

 

 

 

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 梅雨時の愉しみは紫陽花。得浄明院の門前にて。

 

 

 

Rum and Whisky   (ラム・アンド・ウイスキー)

604-8017 京都市中京区木屋町三条下る材木町188-3 光ビル4階東 (木屋町交番より北に7軒目)

19時から翌4時 火曜休     チャージ500円    TEL 075-221-1721
3時以降でノーゲストの場合は閉店させていただくことがございます。

小さな店でございますので勝手ながらお一組3名様までにてお承りさせていただきます

テイラー1960とポルトガルの思い出 六周年に寄せて

 

 

六周年記念祭を開催中です

 

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ポートワイン  テイラー ヴィンテージ・ポート 1960     1600円

ラム  ロングポンド 1941  50%  ゴードン&マクファイル       15ml   1600円

ウイスキー  マッカラン 12年 43% オールドボトル  30ml  1600円

Taylor Vintage Port 1960 for Harrods   / 1 glass 1600 JPY

Long Pond 1941-99 /50% /Jamaican Rum /Gordon&MacPhail   / 15ml 1600 JPY

Macallan 12yo /43% /OB /bot.1980’s   / 30ml 1600 JPY

 

 

好評のポルトはラスト一杯ですので、本日までの御提供です。

少しずつ色濃くなり、甘みもより増しています。

(6月6日売り切れました)

 

ラムはとても個性的で初めての方にはおすすめできませんが

愛好家の方々に支持されて一番出ています。

 

また近年良い時代のマッカランをお出しするのも難しくなりました。

是非この機会にお試しくださいませ。

 

ポルトは本日売り切れまで

ラムとウイスキーは6月15日までの御提供でございます。

 

 

 

 

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ポートワインの生産地、ポルトガルの古い都市ポルトを訪れたのは2002年のことです。

一週間滞在して生産者や上流域の畑を訪ねました。

まだフィルムのカメラを使っていた頃で、あまり写真も残っていませんでしたが

少しだけご紹介いたします。

 

スペインのヘレスから長距離バスでポルトガルの首都リスボンへ入りました。

コスタ・デル・ソルを抜け、アフリカ大陸を左に眺めながら進みます。

ユーロ導入に伴う旧通貨の廃止直後でしたので

廃業した両替商の店舗が国境沿いにゴーストタウンのように並んでいたのが印象的でした。

 

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リスボンです。酒屋をめぐり、夜は店から洩れるファドを聴きました。

ソラール・ド・ヴィーニョ・ド・ポルトという国営のポートワイン専門のバーがあります。

アルファという高速鉄道に乗れば、快適に3時間ほどでポルトです。

 

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ドウロ川から見た美しいポルトの街。

 

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対岸のヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアです。ポートワイン各社の熟成庫が並びます。

観光名所になっており、たくさんの生産者を訪ね見学・試飲させていただきました。

 

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市街に戻って坂道の路地を散策します。

 

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酒屋にはポートワインのブランデーが並びます。

まだユーロにエスクードが併記されています。

 

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100年以上前の路面電車が現役で働く、黄昏の街です。

 

vinologia

 

おすすめのポートワイン専門店、Vinologiaです。

ポートワインに魅了されてポルトに移住したフランス人、ジャン・フィリップ氏の店です。

滞在中毎日通いました。

 

多彩なタイプのあるポートワインの全体像を知り、その多様性を楽しむための

テイスティング・セットが充実していて、丁寧に解説していただけます。

 

ホワイト・ルビー・LBV・トゥニー・コリェイタと、タイプの特徴を知るためのセットや

ホワイトだけの生産者別6種セットなど

セミナーを受けているように、飲んで楽しみながら学べるよう工夫されています。

私のポルトの知識と技術のほとんどをジャン氏に教えていただきました。

現在当店でラムの御説明をする際にも、ジャン氏の方法を真似させていただいています。

 

パナシュカル

 

ジャン氏に御紹介いただいて、畑を見に行きました。

ポートワインの醸造所と畑は、ポルトの街の中心を流れるドウロ川の上流にあり、

世界遺産にも登録されています。

 

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早朝の列車でポルトを出発し

 

渓谷

 

蛇行するドウロ川に沿って、切り立った崖の上の線路を進みます。

絶景です。

 

駅

 

のどかなピニャン駅に着きました。後方の山に段々畑が見えています。

ジャン氏によれば、

「駅で待っていれば、地元の人が白タク代わりに畑まで乗せていってくれるから」

とのことだったのですが

 

事故車

 

待っていたのはこの一台。事故車の牽引中だったのでしょうか。

声をかけられて交渉し、この状態のまま狭い断崖の山道を畑まで連れて行っていただきました。

怖かったです。

 

棚

 

キンタ・ド・パナシュカルの段々畑です。

今回扱ったテイラーと同資本の、フォンセカ社の畑です。

受付でヘッドフォンセットを借りて、解説を聞きながら一人で畑を回ります。

選べる6言語のうち一つは日本語で、嬉しくなりました。

 

畑

 

最終日に、ジャン氏にお願いしてヴィンテージ・ポートを開けていただきました。

 

デキャンタ1

 

ポルトの最上級タイプであるヴィンテージ・ポートは、フレッシュな果実味が魅力ですので

グラスでは売っていません。ボトルを買わなければなりません。

貧乏旅行の予算からなんとか捻出した、それでも充分ではない私の提示額から

キンタ・ダ・ロマネイラ ヴィンテージ1985

を、選んでいただきました。

 

生産者・ヴィンテージ共に最高で、ただ今飲むにはまだ若すぎるが、

良い物を飲んだ方が経験になるから、とのことでした。

 

デキャンタ2

 

専用の器械で澱引きをします。

 

テイスティング

 

このピエロのような格好をしているのが私です。若さゆえ、お赦しください。

ピンぼけの写真で助かりました。

一人で一本飲むわけにもいかず、酔いも手伝って自然とその場の皆さんと共に飲めました。

海外でもいつも私は一人黙って飲み食いするだけですので

この日は特別な楽しい夜になりました。

 

ヴィンテージ・ポートを開けるときはいつも、この夜とこのボトルの味を思い出します。

 

 

 

 

普段は扱わないポート・ワインを開けることで

楽しい節目となり、スキルの再確認にもなりました。

ラムとウイスキーの探求が本業で、他の事に手を出す余裕はありませんが

また何かの機会に愉しめたらいいなと思います。

お付き合いいただきまして、ありがとうございました。

 

 

 

 

Rum and Whisky   (ラム・アンド・ウイスキー)

604-8017 京都市中京区木屋町三条下る材木町188-3 光ビル4階東 (木屋町交番より北に7軒目)

19時から翌4時 火曜休     チャージ500円    TEL 075-221-1721
3時以降でノーゲストの場合は閉店させていただくことがございます。

小さな店でございますので勝手ながらお一組3名様までにてお承りさせていただきます

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