追悼 ミッシェル・クーヴレー
- 2013年 8月 30日
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8月17日、ミッシェル・クーヴレー氏が亡くなられたようだ。享年85歳。
2004年に氏のブルゴーニュの邸宅を訪問しました。
ボーヌの駅まで運転して迎えに来てくださり、恐縮しました。
「ここに来た日本のバーマンは君一人だけだ」
今もその時の声と表情を明確に思い出せます。
氏の所有畑のアリゴテとともに
氏の偉業については多くの方が記されていて、改めて書く必要は無いでしょう。
一つ加えるなら、氏はAOCの理念に基づいてスコッチ・ウイスキーを本来の姿に戻そうとしていた。
低きに流れんとする業界に危機感を抱き
文化が頂点を迎えた19世紀のやり方を忠実に再現しようとしていた。
その結晶が“シングル・シングル・ベレ・バーレイ”だった。
過熟・過剰、もしくは未熟・未完成などと評されながらも
その作品の中に濃厚な熟成シェリーの魅力や淡白なオー・ド・ヴィの味わいを表現し続けた。
![フランス1 106](http://rumlovers.net/wp-content/uploads/2013/08/フランス1-106-300x224.jpg)
氏のオー・ド・ヴィ。これはミラベル。
1984年から始まった“シングル・シングル・ベレ・バーレイ”のプロジェクトの中には
品種・製麦・樽という
現在のスコッチ・ウイスキーがまず解決しなければならない3つの問題が
全て盛り込まれています。
![フランス1 097](http://rumlovers.net/wp-content/uploads/2013/08/フランス1-097-300x224.jpg)
パラディにて大瓶で眠る最後のベレ・バーレイ
昨年末にブルイックラディから、続いてアランから、ベア種のウイスキーが発売されました。
氏の投じた一石が少しずつ、確実に業界全体を導いています。
晩年の作品には苦味や硫黄香のあるものが多く
少し遠ざかっていました。
氏でももはや良いシェリー樽を入手するのは困難なのだろうかと思っていましたが
あるいは私などの知りえない何かを表現しようとされていたのかもしれません。
今はただ感謝を述べるのみです。
Rum and Whisky (ラム・アンド・ウイスキー)
604-8014 京都市中京区木屋町三条下る材木町188-3 光ビル4階東 (木屋町交番から北に7軒目)
20時から翌4時 火曜休 チャージ500円
3時以降でノーゲストの場合は閉店させていただくことがございます
小さな店でございますので僭越ながら御一組3名様までにてお承りさせていただきます