テイスティング・セット企画も御好評をいただいております。ありがとうございます。

今回はラムのコメントです。

 


 


 

まずは存在感のあるアペリティフ、モンターニュ・プレ1975です。

開栓からアプリコット系の甘いフルーティな香りがとても華やかでしたが

時間が経つにつれハーブの香りが強くなってきました。

今はもうアマーロの古酒のようです。

口内でも徐々に甘みが抑えられて引き締まった味わいに、

しかしその複雑さはより深く増してきています。素晴らしいです。

輸入元は銀座の三美、裏書には流麗な文体で

この美酒への賛辞が謳われています。

ちょうど発売中の“ウイスキー・ワールド 2013,June”の52ページに

三美のことが載っています。

この文を書かれた美酒への情熱が、その後大きなあの実を結ぶことになるのでしょう。

 

次は今回の企画の発端となった銘酒、トロワリビエール1969です。

私にとっても憧れだった一本です。

四年目にして当店で扱うことができ、感無量でございます。

 

輸入元のジャパン・インポート・システムさんが2008年に作成した小冊子“古酒道”で

代表の田中氏がその思い入れを書かれています。

以下全文を引用させていただきます。

 



 

トロワリビエールを扱い始めてから、20年くらいたちます。

最初に始めるきっかけとなったのは、1969年の素晴らしい品質でした。

しっかりした熟成感とボディ、良質なコニャックを連想させる優雅で華やかな香りは

それまでのラムの概念を変え、

マルティニークラムの凄さを教えてくれました。

ブランデーの中のコニャックのような存在。

味わいがコニャックに似ているだけでなく、マルティニークラムの存在自体が

ラムの中で別格と思えるようになりました。

1969年のあと1975年、80年とさまざまなビンテージ品を取り扱ってきました。

最初に飲んだ1969年ほどのインパクトはないにしても、

ひとつひとつのビンテージには思い出がありました。

とても残念なことに、2000年にトロワリビエール蒸留所は火災に遭い、

古酒の樽を全て消失してしまいました。

瓶詰めされた商品だけがかろうじて難を逃れましたが、数は少なく、

市場に出回ることはほとんどなくなったのです。

2008年3月に、初めてトロワリビエール蒸留所に行きました。

なかを見学したあとに通された部屋のテーブルの上に、

かつて扱っていた全ビンテージが並んでいました。

ビンテージは1953年から始まり、もとろん1969年のなつかしい姿もありました。

垂直テイスティングをしながら、「ああ、この味だ!」と1969年に久々に再会しました。

他のビンテージとも再会を果たし、頭の中では同窓会気分でした。

マルティニーク島で熟成されるマルティニークラムは、

暖かい気候のせいでモルトの倍以上のスピードで熟成が進みます。

樽にもよりますが、10年もたてば古酒の仲間入りをするものも現れます。

私の中では69年が格別ですが、これからもチャンスはあります。

ぜひ、同じ感動を皆様にお伝えしたいと思っています。

(引用終わり)

 

野生的な獣臭に上品な香木の香りがからみ

新樽熟成のボルドーのトップ・シャトーを思わせます。

口内でも野生と洗練がせめぎ合い

フレンチ・クレオールの文化そのものの印象の縮図のようです。

素晴らしいです。

 

最後は安定のディジェスティフ、ケイデンヘッドのグリーンラベル・デメララ90年代流通品です。

香りはコーヒー、ビター・チョコレート、上質な出汁昆布。

口内では十二分に濃厚ながら過ぎることのない

稀有なバランスで最高の余韻を演出してくれます。

これも素晴らしいです。

 

誰よりも私自身が一番楽しんでいるこの企画、

皆様に是非御体験頂きたいと願っております。

 

 

 

Rum and Whisky   (ラム・アンド・ウイスキー)

604-8014 京都市中京区木屋町三条下る材木町188-3 光ビル4階東 (木屋町交番から北に7軒目)

20時から翌4時 火曜休  チャージ500円

3時以降でノーゲストの場合は閉店させていただくことがございます

小さな店でございますので僭越ながら御一組3名様までにてお承りさせていただきます。